このページはサラッとお読みください。

いつも目にする発音記号は日本独自のもの

日本の一般的な英語の辞書や、DUO3.0に記載されている発音記号は、Jones式発音記号と言われている記号です。これは言ってみれば日本独自の記号なのです。

国際的な取り決めがある

Jones式発音記号の他に、国際音声記号(IPA)というものがあります。これは国際音声学会という国際的な組織が定めているもので(もともとヨーロッパで作られたものですが)、現在では世界で広く使われており、音声記号の一つのグローバルスタンダードとなっています。

IPAの発音記号は//か[]で示す

IPAの発音記号は、スラッシュ//でくくります。たとえば、payの発音記号は/peɪ/となります。また、IPAにはもう一つ、角括弧[]でくくる発音記号もあります。これは精密表記といい、より正確に表音する際に用います。たとえば前述のpayは[pheɪ]となります。なおJones式の発音記号も[]で示しますが、IPAの精密表記とはかなり異なります。

とりあえず母音だけ確認してみましょう

さて、それではIPAの発音はどのように定められているのでしょうか。まずは母音だけ見てみましょう。なお、ここは本当にサラッと読んでください。一つ一つの記号を覚える必要などは全くありません

母音は:
・舌の前後どこを盛り上げるか(横軸)
・舌と上あごの間隔をどうするか(縦軸)
・唇の形をどうするか(左側=非円唇、右側=円唇)
によって、30個定められています。

・・・母音だけで30個!どうしてそんなに音があるのでしょうか。それは世界中のすべての言語で使われている音を正確に表現するためなのです。30個でもまだ足りないと言われています。でもご安心ください。英語ではこのうちいくつかの発音しか使いません。

まずは下の図(チャート)をご覧ください。赤い丸印をつけたのはJones式発音記号でも使われている記号で、見慣れたものかと思います(でも実際は音の対応が少し違います:後述)。
vowels

この図は少しヤヤコシイとお感じでしょう。実はこれ、口の中を描いたものなのです。上あごと下あご、それから舌を追加すると、大体次のようなイメージになります。
vowels-inside

簡単に言えば、上あごと下あごの間で、舌のどのあたりを持ち上げるかを示したチャートなのです。

また、たとえば「i・y」のように、点の左右に二つの発音記号が記されています。左側の発音記号(/i/)は「唇を丸くしない状態(非円唇)」で発音することを示しており、右側の発音記号(/y/)は「唇を丸くする状態(円唇)」で発音することを示しています。つまり、/i/は唇を丸めずに「イ」と発音し、/y/は唇を丸めて「イ」と発音するということです。

では唇を丸くしない非円唇では唇を具体的にどのような形にすれば良いのでしょうか。たとえば/i/の音は「唇を横に開いて」発音すればいいのでしょうか、それとも「唇には力を入れず自然な形で」発音すればいいのでしょうか。どちらだと思いますか?

実はおもしろいことに、人間には歯があるために、唇を丸くしない場合(非円唇)はどんな唇の形をしてもほとんど同じ音が出ます。ためしに「イー」と言いながら、舌とあごの位置は固定して、唇だけを横に広げたり縮めたりしてみてください。ほとんど音は変わらないはずです。つまり非円唇の音については唇の形を細かく指定する必要がないのです。先ほどの質問に答えるなら、/i/の音は「唇を横に開いて」発音してもいいし、「唇には力を入れず自然な形で」発音してもいい、ということになります。

一方、円唇と非円唇ではずいぶん違う音になってしまうため、区別されています。「イー」と発音しながら唇を丸くしてみてください。全く違う音になりますよね。

以上をまとめると、発音で重要なのは
・舌のどこを一番高くするか(舌先ではありません)
・舌と上顎の間隔はどうなっているか
・唇は丸めるのか、そうでないのか

という三点で、上記チャートにはそのすべてが記載されているということになります。

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